今回特集される3本の作品を見ることで、ロミー・シュナイダーがその30年近くに亘る女優人生で、ひとつのイメージや役柄、演じ方に留まることなく、リスクを怖れずあらたな試みに挑み続けてきたことをあらためて確認することができるだろう。生き生きと可憐なオーストリア皇妃を演じて世界中に巻き起こした「シシー現象」から、まるで自由を求め続けるシシーのように解き放たれることを望んだロミー。
『最も重要なものは愛』の危うさや脆さと高貴なまでの威厳を併せ持つ女優ナディーヌ、死を前にして人生を果敢に横断してみせる『デス・ウォッチ』の女流作家キャサリン。
ロミーが演じた女性たちは、見終わった後も深く、私たちの心の中に生き続けてゆく。
坂本安美
(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)